物権的請求権(物上請求権)とは?
物権的請求権(物上請求権)というのは、
物権を有する者が、
その物権の行使を妨げている者に対して、
妨害の排除を求めることができる権利のことをいいます。
ちなみに、物権的請求権の実定法上の根拠はありません。
物権的請求権(物上請求権)の区分は?
物権的請求権(物上請求権)は、
妨害の態様に応じて、次のように分類されます。
■返還請求権
・返還請求権は、建物所有者が、その不法占拠者に明渡しを求めるような場合です。
■妨害排除請求権
・妨害排除請求権は、土地所有者が、地中に土管を敷設した者に、
その除去を求めるような場合です。
■妨害予防請求権
・妨害予防請求権は、抵当権者が、目的物を毀損等しようとしている者に、
あらかじめその禁止を求めるような場合です。
なお、いずれも、妨害者の故意過失を要しません。
ちなみに、騒音や日照阻害などの生活妨害に対する排除請求は、
人格権等に基づくものであると考えられています。
物上代位とは?
物上代位というのは、先取特権、質権、抵当権が、
次のことによって、債務者(設定者)が受け取ることになる
金銭等に及ぶことをいいます。
■その目的物の売却
■賃貸
■滅失
■毀損
■土地収用...など
また、これら担保権者は、
次のものから優先弁済を受けることになりますが、
そのためには、払渡し前に、
これらの請求権を差し押さえておかなければなりません。
■債務者の受け取る代金
■損害保険金
■損害賠償金
■補償金...など
なお、もしそれまでに差し押さえた債権者があると、
これに劣後することになります。
なので、建物に抵当権を設定する場合には、
物件提供者に火災保険に加入させ、
債権者のために、
あらかじめ保険金請求権に質権を設定しておく方法がとられています。